何かを捨てた女

昨日お昼ご飯を食べたおうどん屋さんで、うどんの中に小さい虫が入っているのを発見した。「ま、言うほどのもんでもないか」と、虫をのけて残りを食べた。その後、トイレに行った。洋式トイレに躊躇なく座る。
昔の私からは考えられない。潔癖症と言うわけではないが、洋式トイレを使うときは便座にペーパーをひいていたし、飲食店で出た食べ物に虫が入っていたら、絶対店の人に言ってたと思う。本は人の手垢のついたものは嫌だったので、ほとんど新本を買っていたのだが、今は古本で買うほうが多い。

私の中で何が変わったのだろう。年をとったから？変わった原因の一つは確実に店を始めた事だけれど。
例えば虫の件。飲食店でお金を頂戴する以上、異物混入は許されない事だ。でも実際自分がやっていると、どんなに気をつけても防ぎようが無い場合もあるのだ。ウチの店の場合は異物が混入していれば、商品を取り替えるか、お代を頂かないか。もちろんその前に謝る。多分今回もお店の人に言えば、なんらかの処置はしてくれたと思うけれど、たかがこんなちっちゃな虫で目くじら立てるのも、と思ったのだ。あ、でも店の人には当然注意してもらわないといけないので、それとなく解かる様に置いて来たけれど。

店を始めて5年目くらいに、実の母親に「あんた、よう鬱病になれへんかったなぁ」と言われた。子供の時、何でもかんでもグジグジと悩む方だった。従姉ですごく明るいお姉さんがいたのだが、その人が鬱病になった。「あんな明るい子が鬱病になるのに、あんたみたいなグジグジしてる子が鬱病になれへんのが不思議や」と母は言う。（これって実の母親の言う言葉ですか？）
「あんた、店始めて何か捨てたよな」と言われた。何を捨てたんだろう？しがらみ？恥？女・・・はまだ捨てたつもりはありません。何だろう。でも確実に自分でも変わったと思う。楽観的になったような気がする。昔は石橋を叩くだけ叩いて、結局渡らない、案じて案じて結局産まない、みたいな性格だったんだけれど、最近は「なんとかなるやろ」って思うことが多い。これっていい事なんだろうか？

昨日、テレビで「大阪のおばちゃん」の取材をしていた。更年期を過ぎた頃から「恥」を捨てたらしい。自分のことを「大阪のおばちゃん」だと認識しているそうだ。
う～ん、さすがにそれはまだ、ご勘弁。