「まつさをな」

演劇集団キャラメルボックス2007スプリングツアー「まつさをな」

観劇日：　5月26日（土）　14：00開演
新神戸オリエンタル劇場

【キャスト】岡田達也　温井麻耶　大内厚雄　坂口理恵　岡内美喜子　畑中智行　三浦剛　筒井俊作　實川貴美子 左東広之　小多田直樹　久保田晶子　粟根まこと（劇団☆新感線）

【STORY】
嘉永5年4月、小田原藩士・青柳啓一郎は、友人の宇佐見静馬・岩本鉄之助とともに、旅芸人の一座を見に行く。
目隠しをして剣を振る娘・千鶴を見て、驚く啓一郎。千鶴の顏は、１年前に病で亡くなった姉に瓜二つだった。
啓一郎は、父・徳右衛門に進言して、千鶴を青柳家の養子として引き取ることに。
最初は一座に帰りたがっていた千鶴だが、自分を引き取ろうと言い出したのが啓一郎だと知り、密かに思いを寄せ始める。そして……。 （劇団公式サイトより）

幕末の小田原藩、台場建設とくれば啓一郎の父、青柳徳右衛門のモデルは韮山代官の江川太郎左衛門だなーと思いながら観ていたら、パンフを読んだらやっぱりそうでした（笑）

旅の一座の目隠しをした女剣士、そしてその女性が啓一郎の亡くなった姉に瓜二つ、とお芝居がはじまってすぐに物語に引き込む始まりはＯＫ。そしていつもながらのテンポのよさで話が進みます。
不覚にも最初にうるうると来たのは、養女の話が来た千鶴のために、一座の座長鯉之丞が厳しい言葉で千鶴を送り出そうとするシーンでした。こんなオヤジを演じれる役者、キャラメルにいたっけ？客演は粟根さんだけのはずだし、この体型はもしや…と思っていたら、なんと筒井さんでした。う、筒井さんに泣かされる日が来るとは！なんか感激。

中盤は、明るく娘・姉を亡くした家族の心を癒す千鶴と、お茶目な粟根さんと坂口さんのバカ夫婦と千鶴の教育係のりく、忠兵衛らのやりとりで笑いを取るキャラメルいつものパターン。いつもなら坂口さんがやりそうな笑いを取る役を岡内さんが好演していました。

…っと、まぁ楽しく観ていたのですが、後半がね。「ＴＲＵＴＨ」と似すぎです。藩の上役の悪事に加担して暗殺を企て、友を裏切って罪を友人になすりつけようとする。しかもその動機が「身分の差」や「貧しさ」といった嫉妬や羨望から来るもの。せっかく「幕末」の芝居なんだから、そんなちっちゃな感情でってよりも大きな志のために動いて欲しいよね。（まぁ、人間とは本来ちっちゃな感情で動く生物なのですが（＾＾；）
「兄と妹」って関係とか、畑中さんの演じる役とかもちょっとワンパターン。畑中さんって、どの役やっても小生意気な若造にしか見えないんです。

ＴＲＵＴＨと違ったのは、そういう悲しい事件があった後に2組の若者の、明るい未来が想像できたことですね。ラストが清々しかったのがよかったです。啓一郎が千鶴にプロポーズしているところへ４隻の黒船が出現。これからの激動の時代の幕開けを感じさせながら終幕というのが面白かったです。

この日はＤＶＤ予約ということで、キャラメルボックスの幕末モノのＤＶＤを持っていれば、１枚ごとに１０００円チケット代を引いてくれるというもの。２階席でしたが、おトクでした。